『相模原事件とヘイトクライム』第3章 磯﨑未奈
ナチス・ドイツのときに行われたT4作戦を初めて知り、また断種法、T4作戦、ユダヤ人虐殺の3つに連続性があることに驚いた。断種法とT4作戦は障がい者に関することだが、ユダヤ人虐殺はその2つとは関係が無いと思ったからだ。断種法はヒトラー政権下で行われたが、私はこれを政府が行うことで、国民に「障がい者は生きる資格が無い」という意識を国が肯定してしまったと考えた。だから、T4作戦が中止になったあとも介護士や看護師が野生化し、死者を増やしてしまったのかと思った。そして、断種法とT4作戦には「優秀なドイツ人をつくる」という優生思想が働いているので、純粋なドイツ人では無いユダヤ人の大量虐殺にまで至ってしまったのかと考えた。
私は、植松が起こした相模原事件は、ナチス・ドイツのときのT4作戦の序章に過ぎないと考える。それは、植松が衆議院議長に宛てた手紙の中に、障がい者を殺すことは全人類のために必要不可欠なことという風に書いているからだ。この手紙の内容は、優秀な人をつくるという優生思想の考え方がT4作戦と共通していると思う。
現在は、ナチス・ドイツのときに例えるとT4作戦のときまで来てしまっているので、このあとの野生化の事件を止められるかが重要になると思う。本書にある、元東京都知事の石原慎太郎氏の発言や元茨城県教育委員の長谷川智恵子氏の発言のように、今は影響力をもつ著名人にまで優生思想は広がっている。このような優生思想が社会に蔓延している状態のときにその思想に基づく発言をされたら、私は次の事件が起きかねないと思う。そして、もし野生化の事件が止められずに発展してしまうと、最終的には600万人もの人が亡くなったようなことが起きかねないと考えた。大きな事件が起きたから政府はパフォーマンスのような対応をするのではなく、これからの国の問題として国民で丁寧に議論するべきだと思った。