2人の関心のあるテーマを読んで 星野凌摩
渡邉さんが関心を持っているテーマは、自身の塾での体験を基に、子どもの学校外での学習環境の問題に焦点を当てていて、私も塾でアルバイトをしているため概ね共感できた。私は3人の子どもの授業(全て個別)を請け負っている。大抵の塾であれば、通常授業の他に長期休みの期間に限った講習が設けられていると考えられる。しかし、その講習は容易に受けられる訳ではなく、通常授業とは別途の授業料がかかってしまう。そのため、来るか来ないかは、本人の気分によるところもあるだろうが、経済的な理由で来れない子がいることは事実である。実際、3人の内の1人は、未だ長期休み中の講習に1度も申しこんだ事は無い。本人は非常に勉強熱心であるため、単に来たくない、という理由は考えにくいだろう。このように、学校外での実態から教育にアプローチしていこうという考えは、同意出来る点である。
しかし、自ら塾を作っていこうという考えが示されている事を加味すると、教育格差への切り込み方を深くしていかなければならないと考える。つまり、教育格差を調べる上で、教育学の知識のみではどうしても浅い結論になりかねない事が予想される。どちらかというと経営学などの色を濃くして考えていく必要があるように思う。
馬場さんは、子どもの主体性・自主性を、現代の教育現場から危惧して考えようとしている。文中の「学ばされている」という表現は、現在のコロナ禍において言えば、言い得て妙である。現在多くとられている学校の勉強方法は、定められた勉強の範囲を課題として出され、提出することを繰り返している事が多い。教育のシステム上、仕方ない部分もあるが、どこか画一的に見えてしまう。
しかし、子どもの主体性・自主性の形成は、学校でその全てが形作られている訳ではない考える。子どもが学校での学習を始めた時、子どもたちはその段階で持っている個性を教師に正直にぶつけてくるだろう。気付いたことがあったら口にしないと気が済まない子や、誰かに気付かれる、または指摘されて初めて自身の行動や考えを表に出す子もいる。既に多様に存在する個性に教師は常日頃苦慮すると考えられるが、その個性が形成される学校教育以前の子どもの成長段階にも目を向けると、より深い考察が出来るのではないだろうか。