研究活動雑感
最近の研究活動はとても報告できるような内容ではなく、お恥ずかしい限りです。でも気がついてみると、定年までのカウントダウンが始まっています。定年まで以下の作業を進め、できれば定年直前に二冊目の単著を出したいと考えています。
そのためにも今年度は4月から気を引き締めて動き始めました。以下のような柱で研究活動を進めていく決意です。
第一は、山口高等中学校関係の研究です。20年前に本格的研究に入り、史料発掘も済ませ、「さて論文にまとめよう」と思って補充調査をした際、山口高等中学校設立の中核になった防長教育会に関するとんでもない史料群と出会いました。「当面はこの史料群との闘いだ」という思いでその分析に入りました。これが大変貴重なもので、今その翻刻と分析をおこなっています。ようやくエンドがみえてきましたので、この史料を中心に据えた論文を考えています。主として防長教育会に関する論文で、今年9月締め切りの大学紀要論文に投稿すべく準備を進めています。この山口高等中学校関係では、山口高等中学校自体を対象とした論文も考えています。これは投稿先は未定ですが、史料も揃っていますのでひとまず論文化を考えます。
第二は、徴兵令認定中学校の研究、特に長崎県の大村尋常中学校の研究です。これも2014年に史料調査を終え、分析のみ残っていましたが、その分析も少しずつ進展してきました。長崎県議会議事録を読み、論文にまとめる計画です。上に書いた防長教育会に関する大学紀要論文を終えた後の、今年後半期にまとめる予定です。私が代表を務める中等教育史研究会の紀要に投稿しようと決意しています。
第三は、現在共同研究として取り組んでいる就学史研究です。これは山形県の事例を研究ノート的なものを大学紀要にまとめました(2020年)が、続けて他の事例研究や何らかの論文が書けないかと考えています。担当する府県の調査は、後は大分県の第一次史料調査が残っていますが、ここに期待をかけています。今年の夏から秋にかけて大分県の本格的な調査を予定しています。これは今年度末から来年度に論文化したいと考えています。
これらが全て順当に進めば、二冊目の単著を出したいと考えています。
最後に残った大きな課題は、戦没学徒兵手記の教育史的位置付けの課題です。1990年代後半頃からこの課題を意識し始め、2003年から大学のゼミで分析を始めました。ゼミ生諸君の期待以上の(失礼!)活躍で、予想以上の成果を挙げ、それらを集大成する作業が残っていました。私はかつてこの課題を意識して「国民の教養と中等教育の役割」という論文をまとめました(2017年)。戦没学徒兵の手記に表明された彼らの教養は、近代日本の教育史にどのように位置付くのかという大きな課題です。ゼミ生諸君との約束は、「この課題で成果を本にしよう」ということでした。しかし私自身の作業がちっとも進まずに今日に至っています。できれば定年前までになし遂げたい課題として考えています。
以上、私自身が直面している課題をまとめてみました。