近未来日本社会の方向性(2)

先のブログで、「近未来日本の社会の方向性」と題して、人口減少に伴う大学存立問題を採り上げた。その中で、大学のみの改革努力には限界があることを指摘し、人口の「過疎化」ではなく「人口の偏り」の是正、地域間の人口の偏りを正して地域平等に配置すること、の必要性を説いた。

同じ問題は病院にもいえる。2024年の病院・クリニック(診療所)・歯科医院など医療機関倒産は64件(前年比56.0%増)で、過去20年で最多件数である。 また、休廃業・解散は598件(同14.1%増)で、2016年(663件)、2017年(617件)に次いで3番目の水準だった。 倒産は、クリニック、歯科医院が件数を押し上げているが、ベッド数20床以上の病院も前年比3.5倍増と大幅に増えた。医療(とくに地域医療)の崩壊は急激に進んでいる。いうまでもなく、問題の根は同じ「人口の偏り」にある。余りに「過疎化」が進行しているため、地域医療が崩壊する。かろうじてクリニック・医院・病院が存在したとしても、専門医が不在のため、必然的に医療の質は低下せざるを得ない。

こうした中で、周知の如く数年前にある首相経験者は「必要なのは自助・共助・公助」と豪語して憚らなかった。人口の「過疎化」を直ちに是正し、「偏り」を正し、平等に医療を受けることができるようにすることが急務である。医療現場も、新自由主義的市場原理に翻弄されている。だから大都会の病院しか生き残れない仕組みとなっている。医療現場(特に地域の医療現場)に対する大胆な税金投入で、医療の崩壊を防ぐことが急務である。税金はそうした「公的」な問題解決にこそ使用すべきである。