退職後の生活・2ヶ月間の読書について
3月末日に退職して以降、退職にまつわる諸事務手続で、想定外の忙しさでした。共済関係の手続き、銀行口座関係の口座廃止・新設の手続き、等々毎日何かがあるという具合で、職に就いていた時とはまた異なった忙しさの日々でした。それも今漸くひと段落しそうです。
そんな中、時間を見つけては読書しました。今回はその報告です。テーマを設定して読むのではなく、乱読が中心の2ヶ月でした。まず、湊かなえさんの『贖罪』と『告白』を読みました。とても面白かったですね。ミステリー小説に入ると思いますが、作者・湊さんの構想力と迫力ある文体に引きつけられました。小宮正安先生『ベートーヴェン「第九」の世界』は、文字通りの「第九」交響曲を縦横に論じています。当時の時代状況を横軸に、「第九」を中心軸として、その前後の歴史を縦軸に展開しています。第九ファンは一度は目を通して良い本でしょう。いま最も売れている作家の一人・三宅香帆さん『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよくわからん、あの名作小説を面白く読む方法』は、名作入門書です。名作小説21点が紹介され、それぞれの小説の概要が説明され、読み方が丁寧に教示されています。私は紹介されている小説の三分の二は読んでいますが、未読も含めて再読したくなったものも多くありました。エラリークィーン『Zの悲劇』は、アメリカ推理小説界最高峰のエラリークィーンの作です。前作『Yの悲劇』から10年。老紳士・名探偵ドルリーレーンと共に、若き女流探偵・ペイシェンス・サムが登場します(尤も問題解決場面はレーンの独壇場)。彼女はレーンとともに二件の殺人事件の謎を解いていきます。
桑子敏雄先生『なんのための「教養」か』と、村上陽一郎先生の『あらためて教養とは』の二冊です。大学教育のあり方を考え続けてきた私にとって、二冊とも大変刺激的な内容でした。これは後の自分の研究課題に即して読んだ本です。近代日本教育史・とりわけ中等教育史を専攻してきた私は、近代日本の中等教育が提供した学問・教養が何であったかを問い直したいと考えています。そんな折に読んだ2冊。再読して精読しなければならない本だと思っています。
