2024年を振り返る
元日の能登半島大震災で始まった2024年も大晦日を迎えました。「第九」を聞きながら、この一年を振り返って見たいと思います。私にとって第一の出来事は、やはりなんといっても『明治前期の国家と地域教育』を刊行できたことです。これまでの研究の集大成になりました。しかし同時にこの研究をまとめるにあたって、同時に数多くの課題も発見できたのも事実です。今後これらの課題を追求していく決意でおります。第二は、来年3月の定年退職に向けて、大学での講義が前期の『教育史』と、同じく前期の『教育学概論』で終わったということです。今年度の後期は、ゼミだけが残りました。事実上講義はなくなったことになります。『教育史』『教育学概論』ともに最終回には学生諸君からの熱い言葉をたくさん頂戴できたことは忘れることができません。その意味で今年は記憶に残る年でした。第三には、私と家族にとってなんとか健康で過ごせた年でした。尤も連れ合いが年末に骨折で入院することになってしまったのは残念です。早く回復してほしいと願っています。
今年は、ベートーヴェン作曲の「第九」交響曲が初演から丁度200年(日本では本格的初演から100年)という節目の年でありました。近年のベートーヴェン解釈が、超高速・軽いという演奏になじめない私は、ひたすら1950年代の音を求めています。従って演奏会には足を運びません。その中で、唯一の例外がコバケンこと小林研一郎さんの指揮する日本フィルハーモニーの演奏です。今年年末には連れ合いと二人で楽しむ予定でしたが、、先にも書いた事情により一人で楽しんできました。ゆったりと、どっしりしたテンポの中で骨格のしっかりした演奏を楽しむことができました。私自身の第九の愛聴盤は、フルトヴェングラー指揮の1951年7月の通称「バイロイト版」です。当初、このレコードには「ゼネプロと本番の合成ではないか」という疑義が出され、フルトヴェングラー協会が調査・バイエルン放送協会のデーターを入手し作成したものが中央上の録音です。同日の、スウェーデン放送協会のものが左上になります。このように、1951年7月29日のバイロイト版は人気があり、ファンの間では同曲演奏史上のベスト作品として高く評価されているものです。私は、1954年8月のバイロイト版(中下)や、1957年11月のオットークレンペラー指揮の演奏も高く評価し、私自身の愛聴盤でもあります。小宮正安先生の新書も出ました。
相変わらず忙しく、慌ただしい一年だったと思います。来年が良い年であることを願っています。このHPをお読み下さっているみなさまにとって来年がさらに良い年となることをお祈り申し上げます。