2025年8月~10月・読書報告

8月~10月までの読書報告

この期間も、あえて研究活動から離れて、自由気ままに読書を楽しみました。まずは写真右上の音楽関係から。青柳いづみこ『ショパンコンクール』。筆者には申し訳ありませんが退屈でした。2015年開催の第17回のコンクールに焦点を合わせたのはいいのですがエントリーした演奏家一人一人の演奏についての評論には閉口しました。この本を購入して「ショパンコンクール」について知りたかったのはそこでは無かったのですが。●右下芝崎拓典『ベルリン・フィル』はとても面白かったです。世界最高のオーケストラが誕生して以降、時代の波に翻弄されながら今日にまできた様子が非常に面白く読めました。●右二列目、保坂正康先生『軍国主義という病がひそむ国』は非常に勉強になりました。今年は昭和100年・戦後80年の節目の年。今年こそ過去の歴史から何を学ぶべきかが真剣に問われる年でした。にも関わらず、物騒な発言をする人物が首相になるなど、きな臭い状況が続いています。本書で、保坂さんは、「太平洋戦争から学ぶべき教訓としてシビリアンコントロールの重要性・先の戦争が日本文化や伝統に反していること、国際ルールを完全に無視し日本文化を曲解して死を強制したこと」を指摘します。●鈴木大裕先生『崩壊する日本の公教育』。アメリカの公教育の現実に詳しい著者が米国追随方の日本の公教育のあり方に警鐘をならす一冊。●筒井清忠先生『新しい教養を求めて』は、混迷する現代日本社会に対し、「新たな教養」を提起する模索の書。●中野雄先生『ウィーン・フィル音と音楽の世界』はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「音の美しさと伝統」を分かりやすく掘り下げた好著。文学作品から2冊。●佐藤厚志氏『荒地の家族』。大震災で失われたものの快復とは何かを鋭く説いた芥川賞受賞作品。●角田光代氏『八日目の蝉』は不倫相手の子どもを誘拐・逃避行するという人間愛溢れる作品。●柳澤協二氏他『9条論に依存しない9条論』は、特に「最近の若い人に『9条を守る』が通用しない」という危機認識の下で若い世代が何を求めているか、を率直に語り合うとても有意義な好著。●ルブラン著『怪盗紳士』は私が小学生の時の愛読書・シリーズの一冊、アマゾンで発見し懐かしくなって購入・読んだ本。●土井敏邦『ガザからの報告』はジャーナリストによる現地からのリアルなリポート。ガザでは今何が起こっているのか実態をリアルに知ることができる一冊。