相模原事件とヘイトクライム 第四章を読んで 阿部恵大

認知の必要さ 

 藤井さんは障碍者権利条約が活かされれば相模原事件のような事件が起こるはずがないと述べている。しかし、条約や法律のようなルールが活かされれば相模原事件のような事件は無くなるのか、優生思想やヘイトクライムが解消されるのだろうかと考えた。
 障害者差別解消法施行されてから4か月も経たない短い間に相模原事件という「障害者」を対象とした大量虐殺事件が起きてしまったことに対して保坂さんは残念に思っていたが、障害者権利条約について認知している人はどれほどいるだろうか。関係者以外の人はほとんど知らないのではないかと私は考える。そもそも知る以前に情報を提示を広くされていないために知るということ自体ができない環境にあるのではないだろうか。そのような現状の中でいくらルールによって障害のある人々が平等に扱われる社会を作ろうとしても無駄である。障害者権利条約や障害者差別解消法の存在をまずは社会に浸透させる必要がある。
 藤井さんは差別の反対は無関心であると述べている。その無関心をなくすために教育に力を入れるべきだと考えている。しかし本当に無関心なのだろうか。無関心とは認知したうえでそのものへの興味や関心を持たず気にもとめないことを指すのではないかと私は考える。そうであるならば障害者権利条約や障害者差別解消法について認知してない多くの人々は無関心ではなく知らないのである。なぜ知らないのか、それは社会の情報発信能力が低いのではないだろうか。藤井さんが述べていたように教育によって子どもたちに障害者権利条約や障害者差別解消法について情報を伝えることは大切である。しかしこの先人々の差別などに関わる法律が施行されたときに広く情報を発信する力を国全体として養うことが必要なのではないかと考えた。