第1章・第2章を読んで 磯﨑未奈

第1章 阿部くん
相模原事件をそもそも優生思想によるヘイトクライムだったのか、というところに疑問を持ったことが興味深かった。私は植松容疑者の内面ばかりを気にしていて、事件の本質はよく見ていなかったなと思った。阿部くんは、この事件を戦争に例え、背景には利益を得るために人を殺してしまったと考えていた。私は、戦争であるなら利益は土地などたくさんあるが、この事件の場合は何だろうと考えた。植松容疑者は大島理森議長にあてた手紙の中で、障がい者抹殺の理由を「世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐこと」としている。ただ、人を殺してしまったらその恩恵は受けられないので、容疑者の利益にはならないと考えた。なので、利益を求めての今回の殺人なら、その利益は何だろうと考えた。

第1章 志賀さん
容疑者が議長にあてた手紙には「保護者の疲れきった表情」、「施設で働いている職員の生気が抜けた瞳」、「車いすに一生縛られている気の毒そうな利用者も多く存在し、保護者が絶縁状態にある」と書かれている。志賀さんは、「ここから、植松容疑者の中に生まれた優生思想の考えは、自らの経験と関係していることが分かる」としている。だが、私はこれは容疑者が経験した労働環境なだけであって、容疑者の思想に直接関係するかは分からないと思う。優生思想に至った原因を知るためには、容疑者の生い立ちからすべてを見ないといけないと思った。

第2章 名倉くん
「私たちはこの問題に対して、当事者意識が欠けていると思う。」という感想について、今も親の問題だと責任転嫁する考えは蔓延していると思った。最近まで若者の帰省によるコロナ感染が問題になっていたが、ある家族は子どもが帰省後にコロナ陽性ということが分かり、村八分にあい、子どもはもちろん親の職場まで特定され、家には落書きをされ、もうその地域には住めなくなったという。ここまでされなくても、田舎では隣の市の感染者の住所まで人伝いで分かることがある。このように、大きな問題が起こる度に人は当事者意識が消えて無責任な行動をよくとると思った。これは全員が当事者に寄り添ってその問題を考えなければならず、完全になくすことは難しいと考えた。

第2章 星野くん
相模原事件の匿名報道について、星野くんはメディアの報道を批判しているが、匿名については遺族の意思も関係しているはずだと思う。メディアが勝手に匿名報道にしたのではなく、遺族が名を伏せたのではないか。それは被害者の中に家族がいたことを周りに知られたくない、被害者には静かに眠ってほしい等、様々だろう。なので、匿名についてはメディアだけでなく、親の意識をはじめ、日本全体の障がい者に対する意識を変えなければいけないと思う。