関心があるテーマについて 名倉令
私が教育学部で教育学を専攻しようと考えたきっかけは、高校時代の担任の教師の働きぶりに魅せられたからだ。当時の私は将来に対するビジョンが非常に曖昧で、大学の学部選びに苦戦をしていた。そんな私を見て、手を差し伸べてくれたのが当時の担任であった。担任自ら、放課後に面談日程を何度も設けてくれて、私の将来を一緒になって考えてくれたのだ。担任としては当たり前のことをしただけなのかもしれないが、私にとっては忘れられない思い出になっている。この経験を踏まえ、私も誰かを手助けできるような教師になりたいと考え、教育学を専攻する決意を固めたのだ。
私は地方衰退における、地方での生涯学習のあり方について興味を示している。昨今、日本は少子高齢化社会を背景とした、人口減少の本格化を迎えている。また、人口が東京に一極集中する人の流れが出来上がり、地方から若者が流出しているとも言えるだろう。私がこの問題に興味を示したきっかけは、2014年に日本創生会議の座長を務める増田寛也氏が提出した「増田レポート」の内容に大きな衝撃を受けたからである。そのレポートで、なんと896の市町村が消滅可能性都市であるとの見解を示したのだ。消滅可能性都市と指定された都市において、公民館のような公共施設は存続可能なのか。また、公民館が減り続けた場合、人々の生涯学習のあり方はどう変化するのかを考えたいと思ったことが起点である。まちづくりとしての機能を有する公民館の数が減少するということは、同時に地域コミュニティの場が失われることを意味する。そうなれば高齢者の孤立化の問題の深刻化や、新規移転者をサポートしてくれる仲間作りの場の提供など、生涯学習を通して公民館で行われてきた役割をどうするのかという問題が見えてくる。また生涯学習を通して、「知の循環社会の実現」等を目指す基本理念を掲げている自治体も多数見受けられる。このような自治体において、独自の生涯学習が人口低減を食い止める一手となり得るのだろうか。様々な自治体の生涯学習を比較検討して、将来の生涯学習のあり方を推測していきたい。