関心を持っているテーマについて 志賀百香
私が今最も関心を持っているテーマは「家庭での教育やしつけ」についてである。
このテーマは、教師を目指すことを決めた理由とも大きく関係している。私は、幼少期から教師という存在にとても憧れを持っていた。子どもが関わる大人は、親と教師ぐらいなので、同じように教師に憧れをもったことがある人は少なくないと思う。中学生になって将来について深く考える中で本当に教師になりたいのか何度も問い直した。親は、小さい子の世話が好きだし、給料も安定しているからと強く進めてきたが、そんなことでは決めたくなかった。家庭での経験からカウンセラーや児童養護施設の職員になることも考えたが、それでは私と同じように「助けて」と言えずに一人で苦しんでいる子どもを救うことはできないことに気づいた。家族としてではなく他者として子どもの近くにいることができ、子どものSOSサインにいち早く気づくことができる大人になるためにはと考えたとき、教師になるしかないと思った。今もその思いは変わらない。ゼミ論文を通じて「家庭での教育やしつけ」をテーマに虐待、ネグレクト、DV、アダルト・チルドレン、PTSD、虐待の世代間連鎖、経済的貧困、発達障害などの問題について考えていきたいと思う。
現在でもしつけという名の虐待により、幼い命が犠牲になる事件は後を絶たない。たとえ命を奪われなくても虐待を受けた子どもは一生消えない傷を負うことになる。養育されなければ生きていくことができない子どもにとって、親・教師・地域住民の存在は非常に大きい。教師は、学校で勉強を教えることだけでなく、子ども達との関わりの中でSOSサインに気づくことが必要だと考える。虐待を受けている子どもが「助けて」と言うことはほとんどない。虐待は、家庭の中など見えにくいところで起こっているため、目にすることもないだろう。
しかし、虐待を受けている子どもは、表情・行動・食欲・体調などに必ず現れてくる。教師は、子どものSOSサインを見落とさないように虐待について知ることが必要だと考える。だが、教師が虐待に気づくことができたとしても、カメラで家庭を監視したり、子どもを保護したりすることはできない。現実、子どもには、虐待に耐えて家庭で養育を受けるか、児童養護施設等に保護されるかの2つしか選択肢がない。私は、家庭を支援して、子どもに家庭以外の居場所を作り、保護者以外の大人から愛情を受けることができれば、家庭で養育ができる場合もあるのではないかと考えている。誰からも虐待に気づかれず、愛情を受けずに育つ子どもがいない社会を築くために、一人の大人としてできることは何か、教師としてできることは何かについて考えていきたい。
上記のことについて考えていくにあたって、保護者に目を向けることが重要であると考える。虐待をする親は、必ず何かしらの問題を抱えている。それは、育児への不安かもしれないし、精神的な問題かもしれない。過去に虐待を受けていた可能性もある。子どもを虐待から救うためには、保護者支援についても考えなければならない。ゼミ論文では、虐待をする親の心理的特徴や虐待事例の特徴に着目して、保護者への適切な対応の仕方からアプローチしていきたい。